言い換えれば、「メーカーでありながらも小売業を併せもつメーカー」ということだろう。
ただし、「製造小売業」という言葉はあくまでもメーカーが構築したシステムという意味で使いたい。 たとえば、流通がっくり出したシステムの場合、アパレル業界のSPAと呼ばれているものがある(実際はメーカーと流通はボーダレスで、その境界は不明ではあるが……)。
SPAは「○○○の略で、直訳するならば「自社オリジナル企業によるアパレル製造直売専門店」。 具体的に企業名を出すとすると、たとえば㈱FのUが典型的な例だ。
「Uは、○○○を略したもので、独特の衣料倉庫を意味している」。 つまり、自社商品を卸店を通じた小売店経由で販売するスタイルから、自社チャネルのUをつくりUというブランド商品を販売するスタイルに変え、爆発的な人気を醸成したのだ。
まさにSPAの典型と言える。 なかでも消費者に大きなインパクトを与えたのは、1998年の原宿店オープン、1999年と2000年のフリースキャンペーンだ。
ここで打ち出された「低価格・高品質」という切り口が他社との差別化を明確にするとともに消費者のクチコミ・共感を生み、急激な成長を実現したのである。 SPAというシステムは、別の業界でも多く推進されている。

惣菜のR、コーヒーのSなども同じ概念で捉えられる。 中食市場を創り上げたR・Fは、デパート地下食品売場で行列ができるほどのRという高級惣菜店を運営している(中食市場=ナカショク市場と読み、朝食・昼食・夕食とは異なる市場)。
神戸のレストランからスタートしたR・Fは「Kコロッケ」で成功を収めた後に高級惣菜の分野に進出し、直営店スタイルの店を百貨店の食品売場に展開することで一大企業に成長した。 「健康と安心こそ、R・Fの存在価値」という基本コンセプトのもと、全国に直営店約300店を展開し、価値の伝達を行っているのである。
アメリカ・シアトルの小さなコーヒー店から始まったSも、今や日本では押しも押されもせぬ存在である。 全世界で一万の直営店を展開し、「少し高級」「アメリカ的雰囲気」「こだわりの深煎」をキーコンセプトに、日本の社会に深く入り込んだ。
深煎コーヒーの価値を伝達する仕掛けがあらゆるところに設けられている。 私流にいえばこれも製造小売業と呼んだ方がいいだろう。
「製造小売業」と「SPA」の違い「製造小売業」、SPAのいずれも、コンセプト(店の主張)が「メーカーの商品価値の伝達と拡販」であることは間違いない。

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